えれながわたしと目もあわさず、口をきかない日々が一週間を過ぎると、誰もが気まずそうにわたしを見るようになった。もともと自分から話の輪に入ることのなかったわたしは、えれなが声をかけてくれなければおしゃべりに加わるきっかけを見つけられなかった。

それにあれほど傷つけ、怒らせてしまったえれなのそばに自分から近寄ることは、臆病なわたしにはできなかった。

颯太くんもわたしたちの異変に気づいて、声をかけてきてくれた。

「なんかふたり、変じゃない?」

そのとき、わたしはお弁当を屋上で食べようと階段をあがっていくところだった。

それまではえれなが必ず一緒だったけれど、あれ以来えれなはチア部の友達と部室に行ってお昼を食べている。

教室でひとりでお弁当を食べるのは、気がめいるので、わたしは昼休みになると屋上に向かうようになっていたのだ。

「えれなとけんかでもしたか」

「べつに」

わたしはいつも以上にそっけなかった。

いまの状況で、颯太くんと一緒にいるところを見られて、えれなに誤解されることに怯えていたのだ。いつも以上に口をひらかないわたしを見て、颯太くんもそれ以上何も聞いてこなかった。

でも、黙ってわたしのあとをついてくる。