「な、なんだ?」
 
土煙の中から太陽に光に照らされる深紅の髪色が見える。
 
アレスと一緒に立ち上がった私は、瞳を揺らしながらその人物を瞳に映す。

「お前は……いったい」
 
土煙の中から姿を現した人物の背中には、竜の翼らしき物が存在し、腕と足先は竜の鱗で覆われ、鋭い爪が生えている。

その人物は私の姿を見つけると、ピンク色の瞳を細める。

「その姿……お前は竜人族か!」
 
彼女の姿を見たアレスはそう問いかける。その質問に彼女は小さく頷くと口を開く。

「よく分かりましたね」

「そんなのお前の姿を見れば、直ぐに分かることだ」
 
彼女の後ろに居るカレンとロキも、それぞれ構えて彼女を警戒している。

彼女はそんな二人を横目で見ると、直ぐに私へと目を戻す。

「では、行きましょう」

「ど、どこにだ?」

「手紙に書いたではありませんか。あなた方に探してほしい人物が居ると」

「それは竜人族の誰かなのか?」
 
アレスの言葉に彼女は頭を左右に振る。

「あなた達に探してほしいのは、竜です」

「なっ!」
 
彼女の【竜】と言う言葉に、この場に居る誰もが目を見張った。

「私は一言も【人】だと、書いた覚えはありません」
 
た、確かに手紙には【探してほしい人物】と書かれていた。

当然、その文面からして私たちは最初から【人】を探す気でいた。

でもここに来て探してほしい人物が……まさか竜だなんて!
 
彼女は私たちに手をかざすと、神の守り(ドュ―シールド)でその身を包み込んだ。

そして彼女が腕を軽く上げると、神の守りごと私たちの体は宙を浮く。

「では、行きましょう」
 
彼女の足元に白い階段らしき物が姿を表すと、私たちは階段の上を歩いて行くように前に進んで行く。

「おいおい、まじかよ!」

「こんな事が……可能だと言うの?」
 
まさか空中魔法なしで空を飛ぶだなんて……。

そう思いながら私は彼女に目を向け問いかける。