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「ねえ、どう思うかしら?」
 
ソフィアの肩に乗っていたテトが俺の側へと来る。

テトの姿を横目でみながら、俺はベルの様子を伺った。

「どうやらあのベルって子は、ソフィアを魔人族だと認識したみたいね」

「そう、みたいだな」
 
ベルはソフィアの名前を聞いて、その容姿を確認していた。

それは前にも一度、魔人族を見た事があるってことだ。
 
森人族は人間族たちとは違って長い寿命を持つ。長く生きているベルが、魔人族を目にしたのは不思議な事じゃない。
 
しかし……さっきの言葉はどういう意味なんだ? 【もうその時期】と言うのはいったい?

「着いてこい」

ベルの言葉に俺たちは彼女に目を向ける。

「お前たちを六月の岬へと通す」

「なっ……!?」
 
ベルはそれだけ言うと、俺たちに背を向けて再び歩き出す。

そんな彼女の背中を俺は不審に思いながら見つめた。

「アレス。どうするの?」

「カレン?」
 
カレンはサファイアを鞘に戻し、じっとベルの背中を見つめながら、彼女に聞こえないように小声で言う。

「あのベルって人、もしかしたらソフィアの正体が分かったんじゃないかしら?」

「ああ、ちょうどテトとその話をしていたところだ」

「だったら、この先に居る人物には警戒した方が良いわね」

「……そうだな」
 
もし手紙を寄越した人物が、ソフィアの事を魔人族の生き残りだと知っている者だとしたら……。
 
そんな奴とソフィアを会わせて大丈夫なのか?! 

だが、もしソフィアの力を狙っているとするなら、俺なんかにわざわざ手紙なんて寄越さないだろう。

力づくで奪いに来るはずだ。

「……っ」
 
気になること、疑問に思うことはたくさんある。

でも今はベルに着いて行き本当の真実をこの目で見極めなければ。