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真夜中の森へと足を踏み入れた私たちは、辺りの暗さに驚いていた。

さっきまで天気の良い青空の下に居たはずなのに、今は太陽の光すら目にする事は出来ず、ただただ真っ暗な夜空が上に広がっている。

「本当に真夜中みたいだな」

「ああ……」

「暗くてあまり見えないわね」
　
するとアレスの頭の上に乗っていたムニンが、地面へと飛び降りる。

「六月の岬まで俺が案内する。奥に行くに連れて、霧も濃くなってくるからはぐれるなよ」
　
その言葉にロキは鼻で笑うと腕を組んで言う。

「はんっ！　子供じゃないんだし、はぐれるわけないだろ？」
　
もちろん、ロキ以外の私たちは全員その言葉に疑いの眼差しを向けた。

「そう言うあんたが一番危なっかしいのよ」
　
さらりと言うカレンの言葉が、ロキの体へと突き刺さる。

「な……なんだと、カレン！」
　
あ、また喧嘩が始まっちゃう！　とそう思った時、カレンはサファイアの柄を軽く握ると、鋭い目を浮かべてロキに脅すように言う。

「なに？　また氷漬けにされたいの？　だったら今度は、絶対零度で永遠に出て来れないようにしてあげようかしら？」

「ひっ！」
　
その言葉にロキは、顔を青くしながらブンブンと頭を激しく振った。

どうやら朝のが相当応えているみたいだ。
　
ロキの様子を横目で見ていたカレンは、柄から手を放すと先に歩き出す。

カレンの後ろ姿を見ながら、ロキはアレスに助けを求めるように側に寄った。

「超怖いんだけど！　いつにも増してあいつ怖いんだけど！」

「今朝のが原因だろ……」
　
アレスも呆れながらロキを置いて先に歩き出した。

ロキも慌ててアレスたちを追いかけ、私も苦笑しながら三人の後を追った。