待って待って待ちに待ってようやくやってきた約束の日。
隼人と会える~。
昨日の夜から興奮して眠れなかった。
今日の朝だっていつもより、一時間も早く目が覚めた。
私のお気に入りの洋服をクローゼットから取り出す。
髪の毛もいつもの倍ぐらいの時間をかけて
セットした。
さっきから鏡の前に立ってみたり、家中をうろうろしていた。
そしたら、お姉ちゃんに
「もう、ちょっと、今日は疲れてるんだから
静かに寝かせてよ。
あんた一体、何してのよ。」
って不満そうに言われたから
「今日はね、彼氏とデートなの。」
って答えておいた。
「嘘だ~」
お姉ちゃんは信じてないみたいだったけど。
時間になるまで家のなかをうろうろした。
やっと時間になって家を出た。
待ち合わせ場所の公園まで歩いて15分くらい。
今日は隼人との初デートだ。
高ぶる気持ちを押さえながら歩いた。
公園に着くと隼人はもう来ていた。
やっぱり、隼人はしっかりしてるな~
遠くからみても、かっこいい、シルエット。
私は隼人にゆっくりゆっくり近づいた。
最後まで気づかれないようにするつもりだったのに
気づかれた。
「あっ、由夏、」
振り向いた隼人はにこって笑った。
いつもの優しい笑顔。
「隼人、遅くなってごめん、今日も早かったね」
私がそう言うと
「俺は全然大丈夫。それより、由夏に会いたくて
早く来ちゃったんだ。」
隼人はこんなことを言ってきた。
子供っぽい表情をして。
「じゃあ、行く?」
「行こう」
二人でバスに乗って隣町まで行った。
バスを降りると
歩いてある場所を目指した。
プラネタリウム。
私も隼人も星が好きだったから。
二人で中に入った。
他にもお客さんはいたけどそんなに多くはなかった。
真ん中の空いているシートに並んで座る。
間もなく投影が始まった。
辺り一面に綺麗な星が見えた。
本物の星空を見ているみたい。
「綺麗だね」
すぐ隣にいる隼人に話しかけた。
「うん」
それから何も会話することなく投影される星を見ていた。
プラネタリウムのあとは同じ建物の中にある
映画館に行った。
プラネタリウムは隼人が提案したもので
映画館は私が提案したもの。
好きな人と一緒にこうして映画を見るのが夢だった。
見る映画は恋愛もので結構、泣けるやつ。
映画の途中、隼人が私の手をそっと握ってきた。
はじめて繋いだ手。
隼人の手は暖かくて柔らかかった。
細い指だったけどやっぱり、男の子の手だった。
「感動した~」
映画館を出た私は呟いた。
「由夏、途中、泣きそうだったよ」
隼人はそう言っていたずらっぽく笑った。
「でも、泣いてないから」
「なんか、可愛かった」
隼人は確かにそう言った。
「もう、冗談はやめてよ!」
私が照れながら言うと
「それはほんとだよ。」
隼人はそう返した。
嬉しくてたまらなくなった。
今日は人生ではじめてのデートで緊張したけど
良い一日だったな~。
別れ際、
「今日は楽しかった。ありがとう。隼人」
「俺も由夏とこれて良かった」
「また、同じクラスになるといいね」
「そうだね」
そう言って別れた。
春休みの今日、隼人との最高の思い出ができて
隼人との距離もぐっと縮まった気がした。