その瞬間、夏波の心臓がドクンと大きく跳ね上がった。
夏波はそれを悟られないように話し出した。


「ねぇ、コウってどういう字を書くの??」
「…………。」
「だーれーかーっ!!」
「だーっ!!分かった!!だから叫ぶなって!!
…虹だよ」
恥ずかしさからなのか、虹は夏波から視線を反らした。
「にじ…?…あの七色の?」
「あぁ…笑っちまうよな」
力なく応える虹の声を遮るように、夏波の弾んだ声が響く。
「なんで〜?すっごい素敵じゃない!!」
「…そうか?」
「だって、虹ってすっごい雨が降ったあとの晴れた時にしか出ないじゃない?!すっごいロマンチックな名前〜」
「それ…良いのか?」
フッと虹は吹き出した。
「んなっ…なによう。いいじゃない。だって希望を感じるでしょ?
あ、昔お母さんが言ってた!虹の麓に行けば、そこには宝物が眠ってるって!ね!素敵でしょ?!」
夏波は目を輝かせて虹に熱く語った。
「小学生か…お前」
クククっと声を殺して笑う虹を見て、夏波は更に胸を熱くした。