すると課長がそれを見ながら

「お前……女子力を上げたいと言っていたが
それだと、女性よりおっさんだぞ?」

呆れたように言ってきた。

ガーン!!

おっさんだと言われてしまった。

女子力を上げるはずだったのに……。

「だ、だって。お鍋もお酒があるんですよ!?
それに、コタツ……もう冬の醍醐味。
おっさんにならないで、どうするんですか!!」

必死に言い訳をするが
かえって自分がおっさんだと認めたことに
なってしまった。

ち、違う。
私が言いたいのは、そこじゃない!!

あわあわしていると
課長にクスッと笑われてしまう。

「まぁ、そうなるのも分かる。
コタツに鍋とか確かに冬の醍醐味だしな。
ほら、熱燗もう1本」

課長は、そう言いながら熱燗を温めて
持ってきてくれた。

さすが課長。気が利く……。

負けることは悔しいが私には
こういった気遣いが出来ない。

くぅっ……まだよ。
まだ負けた訳ではない。

私は、ぐっと熱燗を飲み干した。

しばらくするとぬくぬくのコタツに
お酒がよく回ってきて眠くなってきた。

あぁ、極楽……極楽。
ここは、天国だろうか?

「おい、生田。起きろ。 
そんなところで寝るんじゃない。それに
そろそろ帰った方がいいんじゃないのか?
もう9時過ぎているぞ」

「ふぇっ……?課長……もう飲めません」

「酔っぱらってるだろ?お前……」

呆れたようにため息を吐かれた。