「おい、何で近寄ってくるんだ?」

「フフッ……何ででしょうね」

ニヤニヤと笑いながら近寄っていく。

課長は、明らかに動揺している。

頬を染めて後退りする課長。

もしかして、女性関係に少ない人なのだろうか?
言わゆる純情系?

「いいから。さっさと弁当を食べろ」

近づいてくる私の頭を弁当箱で
抑えつけられてしまう。

あぁ、もう少し遊びたかった。チェ……。

仕方がなく課長をいじるのをやめて
座って弁当を食べることにした。

開けてみると有り合わせと言う割りには、
バランスもきちんと考えられた
まともな弁当だった。

味は……う、旨い。

さすが課長。味付けもバッチリだ!

危うく貧しいお昼ご飯になるところだったから
余計に感動をしてしまう。

「んっ~生きてて良かった……」

「大げさだな。お前は……ほら、お茶」

水筒からお茶を注いで私に出してくれた。

「ありがとうございます」

コップを受け取り食べながらお茶をすする。

よく考えたら
上司にお茶を注いでもらうなんて
普通考えられないことだろう。

失礼だし……。
いや、ビビってしまうだろうけど。

課長も弁当箱を開けて食べ始めていた。

改めて見てみると課長って食べ方が綺麗だな。
姿勢もいいし、持ち方も綺麗だ。