か、課長……。

「課長~嫁に来て下さ~い!!」

嬉しさのあまり課長に抱き付いてしまった。

ムギュッとしがみつくと

「ちょっ……おい。生田!?離れろ」

課長は、慌てて引き剥がそうとしてきた。

「あっ……つい。すみません」

勢いあまってやってしまった。

課長が顔を赤くするので
釣られて私まで恥ずかしくなってきた。

「ほら、ふざけてないで
さっさと食べろ。
昼休みが終わってしまうぞ」

「あ、はーい。」

「はいを伸ばすな。まったく……」

まだ頬を赤らめ目線を逸らしていた。

あ、照れてる。

意外な課長の慌てように何だか
ドキドキと同時にウキウキしてきた。

もっとやってみたい。

恥ずかしいのには、変わらないのだが
なんと言うのだろうか?こう……。

お気に入りのオモチャを見つけた子供の気分だ。

「課長……」

ニヤニヤしながら名前を呼び、じわりじわりと
近寄って行くと課長は、
普段見せないような態度で後退りをしていた。