「...あなたに話す必要、ないです」



力無く、そう反論するのが精一杯で。


暫くこの空間に重い沈黙が続いた。


彼が無言なのはどうやらスマホをいじっているからみたいで。


画面を見つめた後、ふふっと不敵な笑みを浮かべた。




「ほれ、これ見てみろ。」


彼のスマホを見せられた。



「【拡散】里原高校2年A組 御前 志帆
毎晩違う男とホテル通いしている模様」



そこにはこんな文と、エレベーターホールで
男と待っていたところの画像が貼られていた。


一つボタンを押せば全世界に拡散される。



「や、やめてっ!」


奪い取ろうとするもその手はすかっと空を切る。


「俺、この学校の生徒結構フォロワーいるんだわ」


にやにやと笑う彼


心底その顔が悪魔に思えた。


「お願いっ、だからぁ...」


彼にしがみついて懇願した。

こんな情けない姿、誰にも見せた事ない。


知らず知らずに涙が溢れていて、必死で彼に訴えた。