何も言えずにいた私に彼は鋭い視線で見つめてくる。


「お前...やっぱり...」


ぐっとその顔が近付いてきて、
こんなシチュエーション初めてで
反射的に体が仰け反る。

な、なに...

私はこの人に襲われるわけ!?

だって平気で好きでもない女と
あんなキスしていたくらいだし...


怖くなってぎゅっと目を瞑る。





「昨日、『ロマンス』ってラブホにいただろ」




思いがけない言葉に、私は血の気が引いていく気がした。



「な、なに...それ...」


な、何でこいつがそんな事知ってるの...

どうして、どこでバレた?

これは誰にも言っていないはずなのに。

結菜だって流石に昨日私が行ったラブホまでは知らないだろうから
結菜が漏らしたわけではなさそう。


じゃあどこから??


私の頭はパンクしそうなくらい
色んな原因を探し続けて、でもそんな原因考え付かなくて。


彼に反論できる言葉もなく、ただ口をパクパクさせていた。