朝早い図書室。

誰も居ないようで凄く静か。


だけどやっぱり私はまた何かと言い掛かりをつけられたくないから
図書室の棚の影など隈なく探す。



よし、誰も居ない。


それが確認できると今日の授業の予習を始めた。





***


「...ぉい、おい。」


ん...?


ぼんやりする視界の中呼ばれている声の方に向く。



「何寝てんだよ。もう1限とっくに始まってんぞ。」


そう言われて体は跳ね上がる。


「うっそ!」


時計を見るともう授業も30分は過ぎている。


「諦めろ。今日の1限は数学の堀だし、
あいつに捕まるとしつこくて鬱陶しいだけだぞ。」


そう私に言ったのは入山だった。


「な、なんで...入山、くんが」


「あいつの授業はめんどいから抜けてきた。」


そしたら図書室によだれ垂らして寝てるお前居たから。


そう言われ咄嗟に頬を拭った。


「お前また朝から自習してたのかよ。
本当、飽きねえな、ガリ子は。」


呆れたように溜息をつかれると隣の席に座られる。


こんな至近距離で彼の顔を見るのは初めて。

整った顔してるけど、表情はいつも眉間に皺が寄ってるんだよなあ...

これは私の前だけなのだろうか。