この頃は朝、気合を入れて早めに学校へ行き、図書室で勉強を始める。



「凛斗、そろそろ付き合おーよ、
もう3回くらい告ってるよー?」



と、何やら甘ったるい女の子の声が図書室の奥から聞こえる。



凛斗、ってまた入山いるのか。


タイミング悪...


「そんなこと言うためにこんな朝早くから俺を呼んだのかよ...
ったく、何度言われても俺の気持ちは変わんねーよ。」



じゃあじゃあ、と引き下がる女



「ここでキスしてくれたらー、私もこれでけじめつけるよ」



こんな朝早く、人来ないだろうし


と、何だか楽しそうだけど、私いますから...


とは言えず、無視してペンを走らせる。


「ったく、しゃあねぇな...」


とそこから聞こえてくるのはリップ音と、たまに漏れる女の吐息。


まじか、本当にこんな誰かに見られるかもしれない校内でやっちゃうのか、


私だって、流石に場所くらい弁えてラブホ行くけど!


と思ってたら、何だか甘い空気になったようで



「凛斗...シたい。場所変えよ...」


暫くすると女に腕を絡められた入山が出て来て
ばっちりと目が合った。


私を見ながら軽く溜息を吐くと絡められた女の手を振りほどいた。


「やっぱ、俺授業サボれねーから教室戻るわ。」


そう言って女を置き去りにし、1人図書室を出て行った。


女はと言うと私なんて完全にいないものとして、凛斗待ってよーと追いかける始末。



ってか、どーせまた人の情事を覗き見やがってとか思って呆れてるんでしょ。


私だって見たくて見てるわけじゃない。

そこにいる入山が悪い。