朝練は基本的に自主練だ。
 
リフティング、ドリブル、シュートと、基本的な動作を順に練習していく。

今日は、 思ったとおりにボールをコントロールできている気がする。

調子がいいようだ。
 
インターバルをとっている間、僕はさっき森下さんに話したことを思い返していた。

自分の意思で、好きで、やっている。


正直、最近の僕はそのことを忘れかけていたようだ。


この毎日の朝練も、もはや習慣化しすぎて


『毎日こなすもの』という認識になっていた。
 


今年こそはスタメンになりたいと意気込んでいたのに、三年生になってすぐに怪我をしてしまった。

治ってからもなかなか調子が戻らず、焦る気持ちを抱えながら練習していた。
 


がんばってもがんばっても練習についていくことで精いっぱいで、つらかった。

もし、誰かが僕に『お疲れ様』と言ってきたら、

『ああ、すごく疲れてるよ』なん て口にしてしまっていたかもしれない。
 



本当は違う。



確かにキツいけど、サッカーや仲間が好きだからやってるんだ。
 
彼女は、僕に『お疲れ様』と言ってくれた。


そのとき僕は、自分の意思で、その言 葉を受け入れることを拒んだ。



彼女は、僕に気付かせてくれたんだ。
 




そこまで考えたとき、僕の中でなにかがつながった。