「残酷な答えだと思うだろうが、このことは、人間に生き方を教えてくれる」

「生き方?」

「そう。
約束されているものが別れだと知ったとき、じいちゃんは、ある生き方を選んだ。

それは、その人との『最良の別れ』のための努力をし続けるというものだ」


もやもやしていた気持ちが、その言葉を聞いた瞬間にふっと消えた。


そして、自分の理解を確かめるために話し始めた。


「じゃあじいちゃんは、いつか必ず訪れる別れのときのために、いつも努力をしているってこと?」


僕は、改めて「なるほど」と思った。じいちゃんは、笑顔で頷いた。