『ほんっとーに、ごめん!』

後日、BabyDollに顔を出した十和。
私が問い詰めると、いとも簡単に頭を下げた。

『ほら、アユが心配でさ。 幸成くんに見守っててほしかったんだよ』

手を合わせ、下からうかがうように見る。

狡いよ。
その可愛いしぐさ……

『ま、いーよ。 別に』

そんなん、責められないじゃん。

『話してみたら気があってさ』

しかも、なんか楽しそうだし。

『何? 幸成と友達になったの?』

『ん? なれたらいいけどね』

軽くヤキモチ。
幸成に? 十和に?

わかんないけど、少し悔しいな。

美香が幸成を好きだと言った時に似た感覚……

『私以外の人は皆、幸成を好きになってくんだね』

もしかしたら、これ疎外感?
私だけ仲間外れだから?

『でも幸成の奴。 十和といても幸せになれないって言ってたけど?』

私、性格悪……
こんな意地悪がしたいわけじゃないのに。

『何言ってんの。 幸せなんて、努力次第でいくらでも手に入れられるよ』

わっ。
すごい、この人。

『プラス思考……』

『ははっ それしか取り柄ないし』

無邪気な笑顔を見せる十和に、つい私も笑みを漏らしてしまう。

『じゃあ、努力して幸せにしてよ』

なんて恥ずかしい台詞。
でも、本心だよ。

私、十和と幸せになりたい。
これ以上にない幸せを、2人で手に入れたいよ。

『するよ。 誰よりも、アユを幸せにする』

十和となら、本当に死ぬまで笑い合っていられる。
もしかしたら、死ぬ瞬間も笑ってるかも。

なんて、心の底から思っていた……