少し久しぶりに来た美香の部屋は、また新しい雑貨が増えていた。
今回は可愛いアンティーク調の写真たて。
『可愛いね。 どこで買ったの?』
それを手に取り、美香に尋ねる。
『私も知らなかったお店なの。 幸成くんが連れてってくれて』
カチャカチャと紅茶を用意する美香の頬は、微かに赤らんだように思えた。
そうか。
前にデートした時に。
私の知らない美香を見たような気がして、妙に嫌な気分になった。
例えば自分の鉛筆を無断で使われたような……
そんなムッとくる嫌な気持ち。
『ここにアユとの写真入れようと思ってさ』
『え?』
私と美香の?
でも本当は違うでしょう?
『幸成との写真、入れないの?』
きっと美香はそうしたいんだよね?
『んーん。 アユのイメージで買ったから、アユとのやつ入れたい』
満面の笑みで答える美香。
馬鹿ね。
そんな事言ったって、2人で撮った写真なんて一枚も無いじゃん。
撮ろうなんて思う機会なかったし。
『今度、2人で写真撮ろっか』
早く撮ってプリントしなきゃね?
いつまでも空っぽじゃ写真たてが可哀相だもの。
『今からは? 私、デジカメ持ってくるよ』
『駄目、今日は仕事でメイク落ちちゃってるし』
『え~!』
だってこんな場所に飾れる程、スッピンに自信ない。
美香みたいに綺麗ならいいけどさ……
だからまた今度、ね?