十和の秘密も気になった。

けどそれより、十和に私の事を知られたのがショックだった。
この店の事。
私がオーナーにしていた事を、十和には知られたくなかったの。


【下手くそだな、お前】

誰にもした事の無かった事を、私はオーナーに仕込まれた。

【もっと心を込めて舐めろ。 もっと奥まで】

来る日も来る日もオーナーのモノを口に含んだ。
私の唇は荒れても、オーナーは満足しない。

今思えば、アレは「練習」と名をつけた「遊び」だったんだろう。
オーナーの気ままな遊戯。


十和はどう思ったのだろう。
汚い女だと思ったかな。

誰にでもフェラしてしまうような女。

嫌だよ。
そんなの嫌……

『ッ十和……』

傍にいてよ……







『マジ疲れたー』

久しぶりに美香と2人、タクシーで帰った。
幸成は何だか忙しいみたいで、美香は幸成が送ってくれないなら歩いて帰ると、我が儘を言った。

正直、今は幸成に会いたくないし。

会ったら美香の前でも構わず怒鳴り散らしてしまいそう。

だから美香の我が儘は、私にとっても都合が良かった。

『うち寄ってってよアユー。 いいDVD買ったんだよね』

間もなく美香のマンションに着こうとした時。
美香はそう言って財布を出した。

『すみませーん、そこ曲がったとこで、2人共降ろしてください。』

答える間も無く降車を決められてしまう。

ま、暇だからいいんだけどね。

『ありがと~、おじさん。 またお願いします!』

降車後、満面の笑みでドライバーに手を振る美香。
あまりの愛想のよさに、ある意味心配だ。

変な男に好かれてしまうんじゃないかと……