ヤヨはぎゅーっと手を繋ぐあたしを横目で見て、


「ここ廊下だから」


と一言。サックリ。


あ、また
手がほどかれた。



「……ヤヨちゃん冷めすぎ」



「別に冷めてない」



ちょっと前までは、手繋いだら「離せ!」って焦りながらほどいたのに。


あれはね、結構好きだったよ。
赤い横顔なんかは特に。



「はぁ……」


「人の顔見てため息つくな」



「え、嘘?ため息ついてた?」



無意識とか、こわいんだけど。
ため息ついたら幸せ逃げるじゃん。



「気づいてないのか知らないけど、お前ため息つきすぎだから」



「うーん、多分恋の病だよ」


ヤヨちゃんが、満たしてくれれば治るんだよ。不治の病じゃないからね。



「なにそれ俺のせい?」


「うん」


あたし即答。
ヤヨは、半ば呆れ顔でこっちを見てる。