「いちいち言わせる?」


ヤヨはため息つきながら、あたしと向き合う。


「うん。だってわかんないもん。たぶん一生」


さっき振り払っちゃった手、可哀想だからナデナデしながらそう言ったら。



「元カレと話すのは別にいいけど……ああいう話は絶対すんな」



……?


首を傾げたら、「もうやだこいつ……」って聞こえたんだけど。気のせい?




「元カレと、付き合ってた時の……キスとか。そういう話すんのだけはやめろ」



あたしが撫でてた大きな手。

ぎゅっと、逆に握り返されて



「わかった?」



あたしを見下ろす視線は、呆れてて、怒ってて。


「……ハイ」


って、語尾にハートつきそうなくらい、なんか、かっこいい。ヤヨちゃん。



「なら許す」


そういって、手を離されたから、
あたし急いでつなぎなおした。