さすがに、指輪は、できない?


ものすごくひっかかる。


「芙祐ちゃん、列進んだよ?」


手招きする麻里奈ちゃんの方に
慌てて数歩進む。



「麻里奈ちゃん、その、ヤヨと付き合ってた時、指輪もらったの?」



「うん。貰ったよ。それと同じブランドのもの。だから、どんなにあの指輪が可愛くてももうつけられないよね」



へへ、と困ったように笑う麻里奈ちゃん。


それはあたしの神経を
逆なでするような笑みに見えた。


ヤヨ、指輪あげたんだ。


あたしには、
「軽率だ」
とか言ってくれなかったのに。


麻里奈ちゃんには、あげたんだ……。



思いっきり傷ついた。
だけど、絶対顔に出さない。



長い列だけ、見つめて。



「そういえば、麻里奈ちゃん、家出って、何かあったの?」


話だって変えてやる。



「あー……うん。芙祐ちゃんには、わからないかも……」


って、麻里奈ちゃんは小首を傾げて、笑う。