【傘】
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―ザァー・・・。
「また雨・・・」
6月。
手のひらを空に向け、目も泣き続ける空を見ていた。
黒い傘を広げ、雨の中に入っていった。
―パシャパシャ・・
歩みを進めると同時に、空の涙がスーツを濡らす。
「―また雨・・・・」
さっきも聞いたセリフ。
いや・・・正確には言ったセリフ。
顔を声のした方に向けた。
手のひらを空に向け、雨を見ていた女の人がファミレスの前に立っていた。
「・・・・っ」
足が動かなかった。
耳の後ろで結んだ、なんのくせもない黒髪。
透き通るような白い肌に赤いくちびる。
そして、オレを見る茶色い瞳・・・。
その全てから目がはなせなかった。