「俺と
 こうゆう関係になったって
 今日の仲間には絶対に言うなよ」


男はそう愛子に言いながら
愛子の唇へ
そっと唇を重ねました。

少し照れたように
愛子さんは微笑んで

「どーして?」

「山田がさ、
 愛子の事を気に入ってたんだよ、
 山田とは昔からの付き合いだしさ、
 関係を悪くしたくないんだよね」

男がそう答えると
愛子は何の疑いも無さそうな
無邪気な笑顔で
分かったわと
うなずきました。

愛子さん、大丈夫ですか?(・・;)

愛川、実にとても
プンプンと匂ってますけど。
男は、大抵そんな事を言って
簡単に女性を口説き
簡単に捨てる方も居ますよ?(^_^;)

どうやらこの2人
飲み会で知り合って
その流れでラブホへ来たようです。
まぁ、よくあるパターンなんですけどね。
こー言ってはなんですが、
男性はなかなかモテそうなお方です。
クマの直感ですが、
髪型から始まり
お洒落で、女性に優しく
いかにも!遊んでいそうなタイプです。
もし、私が人間の女性なら
間違いなく疑わしいタイプの男性です。

愛子さんはその男性をイサムと呼びました。

手慣れた感じに
愛子さんに口づけをし
ソファーへ横倒しにすると
愛子さんの
黒いふわふわのセーターの中へと
手をまさぐり入れました。

「先に
 シャワーしといでよ」

イサムさんが耳元で囁くと
愛子さんは黙ってうなずき
シャワールームへ消えて行きました。

イサムさんは
すぅーっとポケットから
携帯と、タバコを取りだし
タバコへ火を付けると
深く白い息を吐き出すと
手慣れた手つきで何やらメールを。

また深く煙を吐くと
また携帯を。
イサムさんは何回かそれを繰り返し
やがて、携帯をポケットへしまいました。

やがて
愛子さんがシャワーを終えて出てくると
タオルを巻いたままの愛子さんへ
飲みかけの缶ビールを渡し
イサムさんも
シャワールームへと向かいました。

そして、湯気がうっすら立つ
少し日に焼け鍛え上げた体を
まるで愛子さんへ見せつけるように
出てくるなり
ベットの中へと入りました。

「愛子もおいで」

と、イサムさんが呼ぶと
愛子さんはベットヘと入り
2人は
重なりあいました。

愛川は、こんな場面を
いつも見ているわけですが
ここからが肝心なのです。

始まる前の男性は大抵は
優しいもの。
まぁ、終わってからも
イサムさんの様に
手慣れてる方は腕枕なんかして
優しくするとは思いますけどね、
愛子さんのように
出会って初めてここラブホへ来られる
カップルで
今後幸せへと必然的に
流れていくカップルと
流れていかないカップルには
違いがあるものです。

この部屋で
愛を確かめ合ったつもりでいても
この部屋から始まる
涙もあるんです。

もちろん、互いに
今夜のお相手よ、なんて位に
ここへ来たのであれば
なんの問題もありませんが。

なんですかね~
愛子さんからはそんな軽いノリのような
ものを感じないんですよ。

それだけイサムさんが
上手く愛子さんを口説いて
ここへ連れて来たのでしょう。

イサムさんに抱かれている愛子さんは
快楽を感じているのではなく
幸せを体いっぱいに感じているようで
愛川はとても心配です。(-_-;)

して。
とイサムさんの言われる事を
愛子さんは全てしてあげて
少しためらうと

「愛子は俺の事、好きじゃないの?」

と、巧みにあやつり
まるで、今夜一晩の愛のお祭りごとを
楽しんでいるかのように
イサムさんは愛子さんにあらゆる事を
求めました。

愛子さんは
イサムさんの動き一つ一つを
心で感じているようで
幸せそうに深く深く堕ちました。