「わたしはよくならないよ。」
彼の背中に聞こえないくらいの声でわたしは呟いた。

病室に戻ろう。
すっかり夕日は山に隠れて薄暗くなってきた。
重い足取りで病室に向かう。

その間もわたしはせいやのことばかり考えていた。
どうしてこんなにせいやが気になるんだろう...

病室に着くなり夕食が運ばれてきた。
少ない量で薄味過ぎてあまり美味しいとは言えない夕食をきれいに食べきる。

明日を生きるためにわたしは必死に頬張った。
明日もせいやに会いたいから...

不思議な気持ち。なんだか胸が苦しい。
このあと彼の存在がわたしの最後の時間を変えるとは想像もしていなかった。