とても晴れた昼下がり。
スタジオに早めに着いたので柔軟や発声練習をしていた。
10分位して、ドアが開いた。
「こんにちは。ゆうなみで……ん?風音?」
「こんにちはゆうなみさん。春風です。よろしくね。」
あくまで『春風』として接するんだ。
「あっ、はい。よろしくです。」
ちょっと緊張している彼の耳は赤かった。
「それじゃセットするんで発声でもなんでもしてて下さい。その後1回通してから本番取ります。」
さっさと準備を進める私の心の中は凄いことになっていた。
『ダメダメ。平常心!好きなゆうなみさんと、好きな優樹が一緒にいたぁぁあ!ダメだ!平常心。』
とか思ってました。
そしてセットが終わり、ヘッドフォンをつけているゆうなみさんの肩を叩く。
「ゆうなみさん。歌いましょう。」
チラッとこちらを見て、
「はい!」
と返事をする彼。
かっこいい!!!!
「流しまーす。」
遠隔でボタンを押した。
流れる前奏に気持ちを持っていき、Aメロを歌う。
Bメロは彼の歌う所。綺麗な声が隣で聞こえる。
サビを重ねて歌うと幸せになった。
一度通すと、
「凄い。初めて。ですよね?凄い!ここまで合う歌声初めて出会いました!」
私は興奮した。ゆうなみさんの声を初めて聞いた時以上の興奮が。
「そうですね。このまま本番行っちゃいましょうか!」
「はい!……流しますね。3,2…」
歌った。相手を信用して、親愛の心で。
「終わりましたね。では、後片付けしちゃいましょう!」
そして帰り際。
「あ、あの!ゆうなみさん!また、コラボしましょう!」
「勿論です!では俺はこれで。さようなら。」
そんな約束をして帰った。
心は踊ったままだった。