その日の放課後、私は1人屋上に繋がる大きな扉の前にいた。

ドアノブを捻っても開かない扉。

「ハァーーーー」

私は長いため息をついてその場に座り込む。

「明日も来る」って言ったけど鍵がないんじゃ入れないや。

洸ちゃん…。来てくれないかな…?

壁に寄りかかってボーッと天井を見つめていると階段を上る足音が静かな空間の中に響いた。

「洸ちゃん?」

私は、踊り場からひょこっと顔をのぞかせる。

「あ、お前いたんだ。」

階段には足を止め、だるそうに顔を上げながら呟く洸ちゃんの姿。

右手には昨日と同じ鍵が握られていた。