………10年前

「どうしたの?迷子?」
「えっ……」
1人の男の子が屋敷の前で泣いていた。
「何故ないているの?」
「父上が………しんじゃ……って…」
「お父さんが………。それは辛かったね」
私はその男の子の頭を撫でる。
「でも!男の子がそんなメソメソしてちゃダメだよ!」
「だって………」
「ちょっと遊びに行こっか」
「えっ?!」
これがディヴィレッドとの出会い。私達は街を駆け回り、はしゃぎ回った。
「あははっ!!」
「ねぇ!待ってよ〜!!」
「ほらほら!捕まえてみて!」
鬼ごっこをしていた。
「…あれ?」
間違って裏路地に入ってしまって迷子になる。裏路地は暗くて薄気味悪い。
「ねぇ、エヴェリーナ、戻ろう?」
「………うん」
来た道を戻る。歩いていると、怪しい人達に囲まれた。
「おっ♪貴族様じゃねぇか」
「ちょっと、今日はもう…」
「おら!金出せよ!!」
剣を突きつけられる。初めて見るキラキラしたもの。私は恐怖より好奇心が勝り、まさかの剣を握ったのだ。
「これなぁに?」
「エヴェリーナ!!逃げよう!!」
と、私の手を引いて走り出そうとしたディヴィレッドが切りつけられる。
「おいおい、どこに行く気だ?逃げ切れるとでも?」
「ねえおじさん、これ何?」
「離せっ!!薄気味悪いガキだな!見りゃわかるだろ?!刃物だよ!!」
「あっ…」
男が振り回した剣が私を貫いた。
「お、俺は知らねぇぞ…!!」
「よくもエヴェリーナを…!!」
ディヴィレッドが男に立ち向かっていく。案外弱虫じゃなかったのね。見直した。
「ディヴィレッド!!!」
ディヴィレッドは思いっきり蹴り飛ばされ、動かなくなった。
「ちょっ!あんた!!なんか来たよ!!」
薄れゆく意識の中で、執事の格好をした人が見えた。その人はディヴィレッドを抱き抱えていた。そこまで見て、私は意識を手放した。