そのままそこに立ち尽くしている僕に気が付いたのか、彼女はゆっくりと顔を上げた。

正面にいる僕とは、必然的に目が合う事になる。

――やっぱり、彼女は綺麗だった。

大きすぎない、すべてを見透かすような瞳と、
艶やかな唇、そしてきめ細かい透明な肌。

卵形の顔には、それぞれのパーツが完璧な位置におさまっている。

「・・・あの?」

何も言葉を発さない僕にしびれを切らした彼女は、その美しい顔を少しだけ歪めた。

声までもが非凡だ。

僕はカラカラになった口の奥から、掠れた声を出した。