出会ってからたったの1週間半。


実質希龍に会ったのは3回。


右京と再会してしまった。


私には罪悪感しかなくて。


右京を見てると胸が苦しくて。


「分からない」


分からないんだ。


私がどうしたいのか。


確かに今の希龍"も"居心地が良い。


でも、そこは私の居場所ではないのだ。


恋い焦がれて、喉から手が出る程欲しいのは、"あそこ"。


"あそこ"が、私の居場所なんだ。


今の希龍に居たら、きっと"あそこ"と重ねてしまう。


私は、どうしたらいいの?


もしあの時、私が剣に会いに希龍に行ってなかったら、きっとこんなに悩む事はなかった。


出会ってから分かる後悔。


「恋、」


俯いていた顔を上げる。


「悩むって事は、お前が今の希龍に少しでも居たいと望んでいるからだ。だったら俺は、今の希龍に居ればいいとも思う。一緒に過ごし考えればいい。悩めばいい。恋、"あの時"のようにお前は縛られてない。自由なんだ」


「私はっ…!縛られてたなんて思った事一度もない!"あそこ"が私の居場所だから!"あそこ"が大好きだから!だから……」


泣きそうになる私の頭に、ポンと手を乗っける琳。


「落ち着け。分かってる。分かってるさ。お前が"あそこ"が大好きな事くらい。みんな分かってる。分かってるからこそ、お前には前を進んで欲しい。それは"あいつら"全員の願いだ。なぁ恋。もうお前を縛るものは何もない。何度も言うがお前は自由だ。自由に何処に行ってもいいんだ。誰も、今のお前にとやかく言う者は誰も居ない。考え、決断するのは全部お前だ。好きにしろ。」


前に進めと言い、私に道を与えながらも好きにしろと私を突き放す琳。


昔から、琳の優しさは残酷だ。