「このまま……」


そこで何かを言いかけた右京。


「なに?」


「……なんでもねぇ。気にするな」


「そう」


気にするなと言われると気になるんだけどね。


それ以上語る気なさそうだからやめておいた。


「あ、そうだ。校長の所行かないと」


「え、まだ諦めてなかったの?」


「もちろん」


当たり前じゃない


ここの生徒なのに授業受けさせないってどういうことよ。


真面目な事言っちゃえば学生の本分は勉強でしょ。


それを大人が放棄させるってどういうことよ。


見た目と肩書きで判断する奴、それでこいつらの中身を知ろうとせず勝手に不良ってだけで判断してる奴嫌い。


「でも俺たち、現状困ったこと一度もないからなぁ…」


「そうそう。恋ちゃん気にしなくていいよー」


「恋さん嬉しいですが困ったことないので大丈夫です」


「………ならいいけど」


本人達がそう言ってるなら私が出る幕はない、か。


心の中のムカムカが消化出来ないまま時間が過ぎていった。


お昼になると希龍の下っ端の子がお昼ご飯を持って屋上に現れた。


「お昼ご飯持ってきました!」


「ご苦労様」


受け取り役は恵らしい。


テーブルに広げられたのは、お弁当、おにぎり、パン、サンドウィッチ、丼、蕎麦うどん。


「これ全部食べる気?」


「さすがにこの量は無理ですよ」


「余ったのどうするの?」


「下の奴らにあげます」


「なるほど」


「恋さんも好きなの選んで下さい」


「じゃあこれ」


私はサンドウィッチを手に取った。


「え、これだけですか?」


「女子の昼なんてこんなもんでしょ」


「少なくないですか?」


「大丈夫大丈夫」


「ならいいですけど…」


剣達も各自自分の好きな物を取って、今度は剣が扉の前で待機していた下っ端の子に余ったご飯を渡しに行っていた。