ヒュゥと風が吹いた。


「恋……?」


「"あの人"は私の所為で死んだのよ!?それを…それなのになんで私を姫にしようとするの!?」



私の発言に目を見開いて驚いている右京。


「恋、お前…知らないのか?」


「なにを」


「"あいつ"は生きてる」


「………………え?」


今度は私が驚く番だった。


"あの人"が生きてる…?


いや、だって確かに"あの人"は……


「お前がアメリカに逃げた後、"あいつ"は意識を取り戻した。今ピンピンして生きてる」


「う、そ………」


安心してか、涙が溢れた。


「よ、かったっ……よかった本当にっ……」


「だから、お前が悔やむ事は何もない」


手で顔を覆って泣く私を優しく抱き締める右京。


「でも私は逃げたっ…!」


「お前は逃げてない。あれがあの時の最善策だった。」


「でもまた同じことが起きたらっ…!」


「俺たちはそんな柔じゃねぇ。安心しろ」


私をあやすように背中をぽんぽんする右京。


昔から、右京は私の扱い方が上手い。