見せる気のない右京に私はどんどん迫っていき

「おいっ!!!」

「ふんっ」

右京の手から"それ"を奪った。

途端にあまり表情を崩さない右京の顔に焦りを見せる。

「恋!見るな!辞めろ!」

「これは!私の問題なの!右京達は巻き込みたくない!!」


勇気を出さないと見せない"それ"を、私は見たんだ。


「あ、っ……」


やっぱり、ダメ、だった。
私は、弱いままだ。
昔となにも変わってなかった。


『もうすぐ迎えに行くよ。僕の恋。

愛してる』



ヒュゥと息を呑んだ。

名前は書かれていないけど、分かる。

頭に駆け巡るのは、"あの時"の記憶

『恋、愛してる』
『恋は僕のだよね?』
『恋?他の男を見るのは許さないよ』
『恋』
『恋』


「恋!!!!!!」


「あ、……あっ……」


私を現実に戻してくれた右京

肩を揺さぶり、見たことないくらい焦っていた。

その顔からは私を心配している事が伺える。


「頼むからっ…無茶しないでくれ。」

右京に抱きしめられた私は、そこで自分の身体が震えていることに気づいた。

強く、強く離さまいと抱き締める右京。

「う、きょう…?」

「なんでいつもお前は…!自分から傷付きに行くんだ!俺がどんなにっ……」

苦しいくらいに強く抱き締める右京の身体も、微かに震えていることに気づく。

右京だって、"あの時"の事を忘れた事はないだろう。

大切な人が居なくなるかもしれない。
そんな恐怖を今もなお、心に覚えている。