「恋ーーー」

ピリリリリリリ

右京がなにか言いかけたのを切り裂くように、私のスマホが着信を告げた。

「あ、剣からだ」

「出ていい」

「うん」

右京はそう言って目を閉じてしまった。

「もしもし?」

『恋どこいるー??右京と一緒だよね?』

「右京と一緒にどっかの空き教室いるよ」

『恵が女子に群がられて限界来ちゃって今屋上いるんだけど来るー?』

「わかった!右京とそっち行くね」

『待ってるね〜!』


可愛い弟からの電話を切ると、右京が目を開けた。

本当に寝てるのか寝たフリなのか分からないなぁ。

「右京、屋上いく?」

「…あと10分」

「はいはい」

どうやらまだ休憩が足りなかったらしい

私の腰に腕を巻いて寝てしまった。

昔からこの体勢好きだよね、右京って

疲れると静かな場所を求めるのも、私を捕まえてこの体勢で必ず寝るのも変わってない。

…やっぱ右京と居ると無条件で昔を思い出してしまう。

どんなに見た目と中身が成長しても、寝顔は幼いままだね

私の中で右京は、全国を背負う総長じゃなくてただの高校生

「ありがとう」

なにに対してか分からないけど、ポロっと自然に溢れた言葉。

ワックスで綺麗にセットされた髪の毛を撫でれば気持ち良さそうな顔をする右京


あぁーーー年を重ねるほどあの人と似てきてる