学校に着くと、文化祭だからかいつもより生徒が浮き足立っていた。

女の子は髪の毛もメイクもいつもより可愛くセットしていて、男子もいつもより気合が入っていてそわそわしている。

廊下を歩いても、廊下から見える他のクラスの教室を見ても飾り付けされていてとても可愛い。

あー楽しみすぎる。テンション上がる。

教室に入ると、クラスの子達も気合が入っていた。

最終確認をしていて、これから始まるんだって思うとワクワクが止まらない。

「剣!楽しみだね!」

「もうすこしで始まるよ恋!楽しもうね!」

「うん!」

「2人とも落ち着いて下さい」

剣と2人でそわそわしていると恵に落ち着きがないと注意された。

仕方ないじゃん。日本の文化祭初めてなんだから。

少しして、学校全体に放送が入った。

「それでは、霞祭を開始致します。くれぐれも羽目を外しすぎないように。楽しみましょう」

放送しているのは校長らしい。

文化祭が始まると、一気にお客さんが押し寄せてきた。

クラスの販売係の子達は忙しそうに動き回っている。

私たちは、教室に来てからクラスの子に渡された可愛く装飾されている宣伝看板を持って学校を回ることにした。

「行こ!!」

霞祭は、生徒の他に保護者や受験を考えている中学生、他校の友達なんかも呼べるらしくどこを歩いても満員電車状態であまり身動きが取れない。



「3年A組カレー売ってま〜す」

こんな感じでいいんだろうか?
とりあえずクラスの宣伝をしてみる。

「あ、そこの可愛子ちゃん3Aでカレー食べに来ない?」

「い、行きますぅ!」
「勿論です!」

新は歩いていた後輩2人に声をかけて宣伝していた。
らしいっちゃらしいけど、ナンパにしか見えないよね。

「ねぇねぇカレー食べない?3Aなんだけど!」

「食べます!」
「行こ!」

剣も剣で女の子に声をかけて宣伝していた。
…私の可愛い可愛い剣に色目使いやがって

ぷくっと頬を膨らませていると、隣にいた右京が膨らんだ頬をむにゅっと掴んで空気を逃した。

「なに?」

「弟に嫉妬してんな」

「だって私の可愛い可愛い剣に色目使ってんのよ!?我慢出来るわけないでしょ!」

「はいはい」

私が剣愛を語るのが面倒くさくなったのか放置された。

恵は、というと

「恵様写真撮らせて下さい!」
「ずるい!私はご一緒に!」
「抜け駆け禁止よ!」
「「「恵様写真お願いします!!」」」

「写真が欲しかったら3Aでカレーを買って下さい。
いいですね?」

「「「はい!!!」」」


……………見なかった事にしておこう。

群がる女子から、苛めて下さいオーラが出てるのは気のせいだろうか?
え、もしかして恵ってああいうキャラなの?

「あいつ、ドSだからドMに好かれやすいらしい」

「……ですよね」

右京、さらっと解説いらないよ。