髪の房を手に取り、微妙なバランスを見ているようで真剣な眼差しをしている。鼻筋が通って高いうえに、きゅっと引き結んだ唇に色気がある。

あ、なんだか鋏を持つ手も指が長くて綺麗なんだ。男の人特有の大きな手なのに、ほんの数ミリの繊細なカットをしてくれている。

商品として見られているだけなのに、なんだかドキドキとしてきた。

普段はちゃらちゃらしてるイメージがあるだけに、ギャップが凄い。こうして見ると改めてイケメンだと認めるしかない。

モテないわけないよね………

チクリと胸に痛みが走る。さっきだって誘われてたし。もやもやとした気持ちが湧いてくる。

「どう?幸?」

声をかけられて、はっと我にかえると柊がはにかんだような、それでいて自慢げな顔をしてこっちを見ていた。