「うちはさ、いっつもうるさいくらいだから、こういうの新鮮」

「うるさいのは、お前だろ」

「言ったな」

窓枠にうっすらと白く積もった雪をつかんで、柊に投げる。びしゃりと水分の多い雪は窓に当たって滑り落ちていく。

「おい、やめろよ!濡らすのはお前の頭だけにしとけ」

呆れた顔の柊が、窓から身を乗り出して髪についた雪をはらってくれる。

「あーあ。でっかい雪つけて。なんか結晶見えそう」




その髪を触る手つきが、意外にも優しくて、柊はその頃から美容師を目指していたのかと思いあたる。

「目開けてみて。バランス見るから」

ぱちりと目を開ければ、鏡の柊と目が合う。