前まで緑だった木葉が少しずつ色づいてきた。
高校初めての文化祭が近づく秋の日、
どんな出し物にするかとざわめくクラスメートたちの声を流し 俺はぼんやり外を眺めていた。
「なに見てるの?」
(?!)
突然かけられた声に我に帰った俺は思わず固まった。
隣の席の朱音(あかね)が俺の顔をのぞき込むようにしていたため、かなり側にいたからだ。
内心慌てる俺に、朱音はポンと手を打った。
「わかった!外見てたとか?絵の具ぬったみたいできれいだもんねぇ~」
のほほんとしてるのに鋭い。
ひたむきな目がまぶしく、肩をつかんで遠ざけようとしたその時だった。