シートタイプの物なら纏めて仕入れることでコストダウンは図れる。
でも、統一サイズの手作りタイルを纏めて買ったところで安くはならない。


「俺の拘り?あのモデルハウスは、大田の夢を実現させただけだよ」

「だったら私がいい様にしてくれてもいいじゃない!私は外壁のタイルが手作りタイプでないとダメだとか言ってないし!」


その時点で私の夢ではない気がする。
頭の中の想像ではそうだとしても、それをオフィスの中で展開しようとは思わない。


「相変わらず強がるな」

「どっちがよ!」

「少しは俺を頼れよ」

「なんであんたを頼らなきゃいけない!?」


売り言葉に買い言葉の文句の言い合いをしてたら、岡崎さんが通りがかった。


「何?痴話喧嘩?」


違ーう!


「とんでも無い!この石頭のデザイナーに軌道修正をお願いしてたところです!」

「俺は曲げないと言ってるだろう」

「何処まで分からず屋なのよ、あんた」


息を巻いてる私を眺め、岡崎さんが苦笑する。


「俺はこんなに冷静じゃない二人を見るのは初めてだよ」


「…へっ?」


可笑しそうにお腹を押さえてる岡崎さんを見つめ、一瞬だけポカンとした。


「君ら案外といいカップルだよな」

「でしょう?」

「何言ってんの!」


そんな思わせぶりな言葉を言うのは止めてと、この間からずっと言ってるのに。