“孤独”
それほど怖いものはない。
私はずっと、大切なものを求めていた。
だから…——。
『ねえ、早くいこ』
「誰かが言った」
『行きたくない』
「また、誰かが言った」
『大丈夫、大丈夫。
ずっと一緒にいてあげるから、苦しまないで』
「誰にも邪魔はさせない」
導くように手を差し出して、奥へ奥へと誘う少女。
少年と少女は微笑んだ。
「怖くないよ。平気だよ。一人じゃないから」
まるで語り手のように唇から滑り出る言葉たち。
いつか見た夢の内容を、今の今まで忘れていた。
なぜ今思い出してしまったの?
そうすれば、こんなに悲しい思いをしなくて済んだのに。