申し訳ないというのは確かにそうだけど、それは今ここで受け取っても同じな気がした。


すると、少し考えるそぶりを見せたシュウは驚くべき行動に出る。




「仕方ない、か。これは廃棄処分するしかないね」


「……はい?」


ため息混じりに放たれたお言葉に開いた口が塞がりません。


「これはアリサのために用意したんだ。
アリサが受け取ってくれないなら、これに意味はないよ」



微笑を浮かべたまま、私の手から時計を自身の手中に収める。


“これ”と言われたのは紛れもなく、たった今シュウに渡った、今の今まで存在することに意味があった物。


それを私が、平たく言えば「いらない」と突っぱねたものだから、不用な物と化している。


このままでは、明日の朝一にでもゴミとして出されてしまうだろう。