「これ……!どうしたんですか?」
値段を聞くのも恐ろしいけれど、それより何より、彼がこれを私に手渡したわけ。
まさか……。
「アリサにあげる」
やはり、そう来ましたか…!
「時計がなくて不便は沢山あるだろうなと思ってね。
前々から考えてはいたんだ」
確かにちょうど不便を感じていた頃で、タイミングがいいのか悪いのか。
もらってくれるよね?と、疑問を滲ませながらも、有無を言わせない迫力。
だけど、ここで引き下がるわけにはいきません!
「いいえっ。これほど高そうなものをもらうだなんて、私には勿体なさすぎます!」
「……受け取ってはくれない、と?」
「そ、そこまではっきり言うわけではないですけど……詰まる所そうですね、はい…」
言葉を紡ぐに当たって、だんだんと声が小さくなってしまうのは否めない。