「大丈夫?きっと環境の変化に疲れてしまったんだね。
配慮が足りなかった、僕の落ち度だ」
本当にそうなのだろうか。
いや、そうだと思うしかない。
頭を抱える私に声をかけては自身を責める彼が、痛々しく思えた。
そんなことない、と首を振って応えると、仮面を貼り付けたような常の微笑を向けてくれた。
私の知っている、彼の姿。
偽りなのにどこか安心してしまうのは、いつの間にか慣れ親しんだ彼だからだろうか。
そういえば、と言葉を紡ぐ。
「あの時はよく、タイミングよく入ってきましたね」
不思議だなどと思っていると、ああ、と頷いた彼はとんでもない宣言をした。
「盗聴器を服に仕込んでいたからね。
イヤホン越しの音が妙だったから気になったんだ」
「へえ。そうなんですか。盗聴……き……って、え!?」