遠い遠い記憶の片隅に蘇る。
暖かな感触。
温もりが気持ちよくて、離れたくない。
小さな手を目一杯開いて、腕を伸ばしてしがみ付く。
今はもう懐かしい——。
*
『もう。相変わらず甘えたなんだから』
それはいけないこと?
『ほら、困っちゃうでしょ?』
全然、困ってないよ。
だってほら。こんなにくっ付いても嫌がらない。
『あんまり甘やかせないわね。しっかりしなきゃ。
だって貴方は…——』
……え?なあに?
聞こえないよ。ねえ、なんて言ったの?
『…も、甘……わ、ね。ぁ……さ、—ひ…ったら』
呼ばれた気がした。
だけど、途切れ途切れで何を言っているかも知れない。
肝心な所が分からない。