遠い遠い記憶の片隅に蘇る。


暖かな感触。


温もりが気持ちよくて、離れたくない。


小さな手を目一杯開いて、腕を伸ばしてしがみ付く。


今はもう懐かしい——。







『もう。相変わらず甘えたなんだから』


それはいけないこと?


『ほら、困っちゃうでしょ?』


全然、困ってないよ。


だってほら。こんなにくっ付いても嫌がらない。



『あんまり甘やかせないわね。しっかりしなきゃ。
だって貴方は…——』


……え?なあに?


聞こえないよ。ねえ、なんて言ったの?



『…も、甘……わ、ね。ぁ……さ、—ひ…ったら』


呼ばれた気がした。


だけど、途切れ途切れで何を言っているかも知れない。


肝心な所が分からない。