と、息を吐いたおかげなのかどうか。
私はどうして気付かなかったのかという、そもそも真っ先に持たなければおかしい疑問にまた一つ辿り着く。
窓もない、明らかに妙な部屋。
そこで平然と話ができる、落ち着き払った少年。
無理解のまま受け答えていた自分。
異常すぎるこの状況下で、なぜ何も知ろうとしなかったのか。
頭が緩い、というより単に大馬鹿なだけかもしれない。
ようやく私は気持ちを落ち着けて、先程とは全く異なった心持ちで、少年の顔を見やる。
変わらず私を見つめる少年に逸りなど微塵も感じられない。
この人は一体……?
でも私をここに連れてきたのは恐らく……いや、十中八九、目の前の彼なのだ。
「あれ、不思議そうな顔。突然真剣な顔になったね。どうしたの?」
悪びれた様子がないのはある意味、感服の域に値するレベル。