だってあの子は。
——とてもとても、優しい子だから。
きっと貴方を追って、私のもとに——
…——戻ってくるよ。
「アリサっ!!」
バン、と慌ただしく扉が開かれて誰かが入ってくる。
誰かは私の視界に映り込むと、強く強く抱きしめた。
ああ、また私を助けてくれるの?
やっぱり貴方は優しい子。
だから私の欲しいもの、分かるよね……?
大事な大事な私の…“——”。
問いかけた私の唇が確かな熱に塞がれた。
唇を割り入ってくるものは生暖かい感触と、押し出されるように喉元に追いやられた一粒の異物。
これだけ奥に来てしまったら、あとは飲み込むしかない。