「アリサのために作ったんだ。味見、してくれる?」


いや、うん。


これは絶対、聞かれている…。



恥ずかしいことこの上ない状況下でかけられた甘美な誘いに、私は進んで乗ることにした。


今更どうというわけでもない。


それに……



「……これ、シュウが作ったんですね」


正直、そちらの興味が勝ったのだ。


弁明すら億劫になるのは至極自然な成り行きといえようか。


……まあ、ただのこじ付けには違いないのだけども。



引かれた椅子に大人しく座って、皿の中の一つを手に取る。


手を触れるのも勿体ないくらいだけど、ここはぜひ味わいたい。


淡い橙がかった色のそれを口に含むと、チーズの豊かな味が広がった。


中にはアーモンドが入っているのか、食感からまた違う。



「美味しい……」