仲が良い人はいないし、何より頼りたくもない。


シロウさんしか私にはいなかった。



「行きましょうか」


シロウさんの服を軽く引く。


なぜか、どことなく浮かない表情だった。









何だってこんなこと引き受けちまったのかと自分でも思う。


俺はとことん、こいつら姉弟に甘いらしい。



「俺、アサヒのやつに3回くらい殺されてもおかしくねえぞ。……いや、あいつのことだから気付いてるっつーことも…」


そっと窺う。


恐れた人物が近くにいないことは確かだ。


周囲に妙な人だかりや、視線が集まる場所がないことが何よりの証拠だろう。


変装していないことも無くもないが、それでは到底隠しきれないほどにアサヒという男は存在感がありすぎる。



「……考え過ぎ、か」


振り切るように、急かすアリサについて行く。