そうして。
「……!」
今まで目に入る光景にばかり気を引かれていたとはいえ、あまりに鈍感すぎるとようやく自覚。
およそ、というか、この部屋でかなり浮いた色が形よりも真っ先に私の視線を誘導する。
白の中にぽつり、これまた見知らぬ少年がこちらを見つつ、椅子に足を組んで座っていた。
見た感じでは、それほど歳がいってはいないよう。
17、8歳といったところか。
いや、もしかしたらもう少し上かもしれないと、なんとも曖昧な一見した見方の自身に、懐疑的になってしまう点は否めない。
指で梳いてみたくなるような柔らかな髪、細められた目は優しげで、口角が楽しげに微笑を湛えている。
襟元のボタンまできちりと止められたシャツに羽織った深い蒼のベストは、容姿に大人びた印象を与えさせた。
眉目秀麗とはまさにこの事を言うのかもしれない、と。
関心を半ば孕んで固まっていると。