「生きる価値も見失ったら、私は一体どうしたらいいの?」


自制が利かなかった。


困らせる。困らせる。また、困らせる。


どうしよう、どうしよう、私は……どうしたらいい?



「アリサ」


びくり、体が不自然に揺れる。


体を起こして、おそるおそる顔を上げる。



「アリサ、泣いているね」


「アサヒはどうして笑っているの?」


アサヒは顔を綻ばせて、私の目元を指先で拭う。


アサヒは困っていなかった。


「嬉しくて仕方がないんだよ。本当に嬉しくて。どうしよう、嬉しくて、ああ……嬉しい。どうにかなってしまいそうだ」



頭のいい彼は、語彙も豊富だ。


こんなに滅茶苦茶な言葉選びをするアサヒは初めてで、目を見張る。


気づいたアサヒは少しはにかんで、息を落ち着ける。


その間も口元に笑みは刻まれたままで、感情のセーブが効かないほどに高揚しているのが見て取れた。