無言でアサヒの隣に座る。
とん、と彼の肩に頭をもたれて呟いた。
「アサヒの馬鹿」
言ってすぐ、顔を隠すように埋める。
困ったような笑い声が頭上から降ってくる。
「はは、最近のアリサは反抗的だね。
……嫌になった?」
分かり切った問いかけに、冗談を言っているのかと思ったけれど。
アサヒの体が少し強張っていることに気付いた。
『不安でたまらない』
そんな声が聞こえてくるようだった。
そんな彼の状態を知って、平静でいられるわけがなくて。
「嫌なわけ、ない。
繋ぎ止めるなんて、そんなことを言わないで」
「アリサ?」
「アサヒがいないと生きていけない私はどうしたらいいの?アサヒがいないと私は私でいられなくなる。
私は、アサヒがいるから生きていけるのに」
アサヒを困らせてしまうから、もう言わないと決めていたのに。